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着物 覚え書き


広重柄の名古屋帯


もう一つ、落札してあった名古屋帯が届きました。
柳の枝の下に、船頭さんの漕ぐ舟、左背後にまばらに松の生えた黄色い山の図です。
3300円也。

これを見て、おおーっ、これはひょっとして、と思ってしまいました。というのも、

広重の江戸名所絵図のなかのこの一枚に、非常に似通った構図だったからです。
柳の枝を絵の前面に掛かるようにもってきて、その下に船頭の漕ぐ舟、左背景に富士山。

ま、偶然なのかもしれませんけれど。
それでも、大喜びで、「広重帯」と命名しました。ムフフのフ。

ところで、先日の博多の名古屋帯ですけれど、縫い始めたものの、苦戦中。
何が大変かって、生地が厚いために、一針一針にえらいこと力が要るのです。15センチも縫うと、右手の人差し指の先が痛くなってきて休憩。お陰で遅々として進まず。

この帯の反物、随分と箪笥の中に仕舞われていたのか、樟脳の匂いがします。この匂いで思い出すのが、父方の祖母の部屋です。夏休み、その鹿児島のK市に遊びに行くと、よく祖母と一緒に祖母の部屋で午睡をしました。祖母の部屋は和室だったのですが、ベットが置いてあり、その上に茣蓙を引いて眠りました。
午睡から目が覚めると、祖母は普段着の着物を着ます。私はまだウトウトと茣蓙に頬をつけて寝転んだまま、祖母が帯を結ぶのを眺めていました。祖母は、するすると帯を結び、あっという間に着替えてしまいます。「おばあちゃんは、スゴイねぇ」と私が感心して言うと、祖母は、「昔の人だからよ」と微笑んで答えました。
今になって思うと、あの祖母の部屋にいつも漂っていたのは、着物を仕舞った箪笥から漂ってくる樟脳の匂いだったのでした。懐かしい匂いです。
by mhasimoto7 | 2005-09-24 15:49 |

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エムの着物にまつわる覚え書き
by mhasimoto7